世界で加速する「海洋プラスチックごみ対策」
プラスチックの特徴と問題点をまとめています。
ウミガメの鼻にストローが刺さっていたり、打ち上げられたクジラのお腹から大量のプラスチックが出てきたり、小魚のお腹からマイクロプラスチックが検出されたり、漁業用の網が鳥の足に絡みついてしまったり、海岸に大量のプラスチックごみが流れ着いていたり、・・・衝撃的なニュースが後をたちません。私たちに届くニュースはほんの一部で、世界に目を向けるとプラスチックが引き起こしている問題はまだまだありそうです。
これは決して他人事ではなく、あなたの手から思わず飛んでいってしまったレジ袋が海洋生物に被害を与えてしまう可能性も十分にあります。今まさに、私たち自身も、このプラスチック問題について真剣に向き合っていくときではないでしょうか。
現代の私たちの生活において、プラスチックは必要不可欠な存在で無くすことはできません。プラスチックのお陰で、スーパーや薬局で必要な物はいくらでも買いストックしておくことができます。そして、安く購入することができます。家で身の回りにある食品・生活用品のパッケージの裏面を見てみてください。殆どのものに「プラ」というマークが印刷されていることでしょう。買い物の際に入れてもらうレジ袋もお菓子の袋も全てプラスチックです。
まずはプラスチックについて知り、プラスチックをどのように扱うべきかを自分自身で考えることが大切です。プラスチックについて基礎的な内容をまとめますので、ぜひご覧ください。
プラスチックとは
プラスチックの原料は「石油」
私たちの生活の中で使用されている包装容器の多くがプラスチック製品です。プラスチックのほとんどが、石油を原料としています。もう少し詳しくいうと、石油からつくられた「ナフサ」という物質です。石油由来のプラスチックは自然に還ることがないため、時間が経過しながら海にたどり着き、多くの海洋生物に被害をもたらしています。近年とくに問題視されています。
従来のプラスチックと生分解性プラスチックの違い
最近耳にする機会も増えてきましたが、石油由来のプラスチックに代わって「生分解性プラスチック」というものあります。とうもろこしなどの植物を原料としたもので、いわゆる自然に還るプラスチックです。
これから商品化される製品をすべて生分解性にすれば良い、と考えたいころですが、従来のプラスチックと比べると丈夫でなかったり、割高であったり、商品を製造する側にとってデメリットもあります。パッケージの費用がかさむと、結果として売価も高くなり、消費者も購入を控えるようになるでしょう。こうした理由で、生分解性プラスチックの流にはもう少し時間がかかりそうです。
従来のプラスチックと生分解性プラスチックの違い | ||
種類 | 原料 | 特徴 |
(非生分解性)従来のプラスチック | 石油(ナフサ) |
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生分解性プラスチック | とうもろこし植物など |
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パッケージにプラスチックが使用される理由
「安い」「軽い」「丈夫」この3つのポイントを兼ね備えたプラスチックは、多くの包装容器や製品にに使用されています。プラスチックは非常に優れた素材です。これ以上に万能な素材は存在しないといっても過言ではないでしょう。
身の回りのプラスチック製品
プラスチックといってもポリエチレンやポリプロピレンなど様々ありそれぞれ特徴が異なります。パッケージの裏面を見ると、「プラ」マークの横に「PE」や「PP」などの記号が書いてあることがありますが、それはプラスチックの素材を示しています。
一つの製品にしても、その性質を活かして複数の素材を組み合わせていることもあります。例えば、容器の本体チューブは柔らかいポリエチレンで、キャップは固いポリプロピレンなど。ぜひ身の回りにあるプラスチック製品の裏面ラベルを見てみてください。いかにプラスチックが使われているか知ることができます。
プラスチック素材の種類と製品 | |||
素材 | 記号 | 性質 | 製品 |
ポリエチレン | PE | 柔軟・耐水 | レジ袋、包装フィルム |
ポリエチレンテレフタレート | PET | ガスバリア性・透明 | 各種ペットボトル、包装フィルム |
ポリプロピレン | PP | 強度・耐熱 | ストロー、食器、シャンプー容器 |
ポリスチレン | PS | 硬度・透明 | DVD・CDケース、発砲スチロール |
アクリル樹脂 | PMMA | 強度・撥水・透明 | ボールペン、コップ、照明器具 |
塩化ビニール | PVC | 耐久・接着 | 食品ラップ、合成皮革 |
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックとは、5㎜以下のプラスチックのことです。(1㎜以下のことを指している場合もあります。) 要は、ものすごく小さいプラスチックのことです。
マイクロプラスチックができるまで
- 包装容器がポイ捨てされる。
- 時間の経過とともに、太陽の光・紫外線を浴びて素材が弱くなり朽ちていく。
- 風や水のチカラで川や海に流れつく。
- 石や岩、砂で擦れたり、波にもまれたりして徐々に小さくボロボロになる。
- 繰り返し傷つくことでやがて小さなマイクロプラスチックがうまれる。
マイクロプラスチック問題
プラスチックがマイクロプラスチックとなると、海の生き物がエサと一緒に飲み込んでしまうことがあります。体内にプラスチックが溜まってしまうと、エサを取り入れる余地がなくなり、栄養がとれずに弱ってしまいます。また、プラスチックが尖っていると、体内を傷つけてしまい死んでしまうかもしれません。
マイクロプラスチックを食べた魚を漁師さんが捕まえ、結果として人間が食べることになる場合だってあります。プラスチックには栄養がないため人間が体内に取り込んだ場合は排泄物として出てくるでしょうが、体に良いわけがありません。
プラスチックごみの行方
プラスチックは石油を原料としていますので、発熱しやすく熱エネルギーとしての再利用されています。また、ペットボトルはいったん分解して、洋服の繊維や卵パックなどの原料として再利用されています。
中国をはじめ東南アジアの国々では、再利用できるためこれまで多くの廃プラスチックを輸入していました。しかしながら、プラスチックごみが国内にあふれることによる大気汚染、土壌汚染の懸念や、プラスチックごみ処理施設が原因による水質汚染の問題もあり。2018年に中国が輸入を禁止、次いで他の国々も輸入規制をはじめています。
自分たちの国で出たごみを輸出するという発想自体に違和感がありますが、今後はごみの受け入れ国も減り、国内でプラスチックを再利用・削減することが一層求められます。
熱エネルギーによる再利用 | 原料の再利用 | 埋める | 輸出 |
プラスチックは石油由来のため発熱量が高く、燃やした時に発生する熱エネルギーは冷暖房や温水などの熱源に利用されている。 | ペットボトルは、洋服の繊維や卵パック、ボールペン、洗剤容器などにリサイクルされている。 | プラスチックは埋めても分解されません。土壌汚染につながる。 | 中国・アジア諸国で輸入規制が進み輸出が難しくなってきている。 |
プラスチックごみ問題 世界の取り組み
スターバックスが紙ストローに切り替えるなど、世界各地でプラスチックごみに関する取り組みが行われるようになってきました。
- プラスチック製レジ袋の廃止
- プラスチック製ストローから紙製ストローへ変更
- 使い捨てプラスチック製品の提供禁止
- プラスチックごみの輸入禁止
- 化粧品へのマイクロプラスチック使用禁止
参考:JETRO「急速に広がるルール作り」各国のプラスチック製品への対応
プラスチックごみ問題 私たちにできること
- ポイ捨てをしない(ゴミ箱に分別する)
- 落ちているごみを拾う
- レジ袋をもらわない
- マイバックやマイボトルを持ち歩く
- 使い捨てプラスチック製品を使わない
日本のレジ袋有料化はいつから?
2020年7月1日から、すべての小売り店でプラスチック製レジ袋が有料化されます。有料化によりマイバックを持ち歩く人が増えれば、プラスチックごみの削減につながりそうです。
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