「カルシウム豊富」「コレステロールゼロ」「砂糖不使用」「食塩無添加」などの強調表示を行う際の条件と注意点をまとめています。
加工食品を販売するときに、パッケージに「カルシウム豊富!」といった表示をさせたい時があると思います。実は、「○○豊富」「○○ゼロ」といった表示をするには、その栄養成分が食品表示法により定められた既定基準値を満たしている必要があるのをご存知でしょうか?
「豊富」「ゼロ」といった表現を強調表示と呼びますが、これらの表示は、製造者の感覚で記載して良いわけではなく、一定の基準を満たした場合のみ記載が認められています。また、デザインによっては、たとえ栄養基準値を満たしていなくても栄養価が高いように見えてしまうこともありますので気をつける必要があります。
私も消費者の立場からすると、パッケージの表面に「カルシウム○○mg」と大きく書いてあれば、その数値がいくらであれ、体に良さそうに感じてしまいます。そもそもカルシウムの基準量を意識して普段から生活していないためです。こういった誤解を防ぐためにも、パッケージに表示させる情報は、その表現にも注意してデザインをするようにしましょう。
強調表示の注意点
- 栄養強調表示の基準を満たしていないのに、文字の色や大きさを目立たせて、消費者に誤解を与えない
- 販売時に栄養強調表示の基準を満たしていても、消費者が摂取時に満たさなくなる場合は表示しない
- 「高○○」「低○○」と表示せずに、栄養成分名のみを目立たせて消費者に誤解を与えないこと
- 下の栄養成分を強調表示する場合は、その栄養成分を栄養成分表示に記載すること
「豊富」「含有」などの強調表示を行う場合
食品パッケージに、「高○○!」や「○○豊富!」など栄養成分が高い旨を強調表示する場合や、「○○含有!」など栄養成分が含まれる旨を強調表示する場合は、該当の栄養成分が、下の表の基準値以上でないといけません。
また、「○○30%アップ!」など栄養成分が強化された旨を強調表示する場合は、比較対象食品と下の表の基準値以上の差がないといけません。たんぱく質と食物繊維については、相対差が 25%以上必要です。
栄養成分 | 高い旨の表示 (例:高○○、○○豊富) 条件:基準値以上ある | 含む旨の表示 (例:○○供給、○○含有) 条件:基準値以上ある | 強化された旨の表示 (例:30%アップ) 条件:基準値以上の差 | |||||
100g あたり | 100ml あたり | 100kcal あたり | 100g あたり | 100ml あたり | 100kcal あたり | 100g あたり | 100ml あたり | |
たんぱく質 | 16.2 g | 8.1 g | 8.1 g | 8.1 g | 4.1 g | 4.1 g | 8.1 g | 4.1 g |
食物繊維 | 6g | 3g | 3g | 3g | 1.5 g | 1.5 g | 3g | 1.5 g |
亜鉛 | 2.64 mg | 1.32 mg | 0.88 mg | 1.32 mg | 0.66 mg | 0.44 mg | 0.88 mg | 0.88 mg |
カリウム | 840 mg | 420 mg | 280 mg | 420 mg | 210 mg | 140 mg | 280 mg | 280 mg |
カルシウム | 204 mg | 102 mg | 68 mg | 102 mg | 51 mg | 34 mg | 68 mg | 68 mg |
鉄 | 2.04 mg | 1.02 mg | 0.68 mg | 1.02 mg | 0.51 mg | 0.34 mg | 0.68 mg | 0.68 mg |
銅 | 0.27 mg | 0.14 mg | 0.09 mg | 0.14 mg | 0.07 mg | 0.05 mg | 0.09 mg | 0.09 mg |
マグネシウム | 96 mg | 48 mg | 32 mg | 48 mg | 24 mg | 16 mg | 32 mg | 32 mg |
ナイアシン | 3.9 mg | 1.95 mg | 1.3 mg | 1.95 mg | 0.98 mg | 0.65 mg | 1.3 mg | 1.3 mg |
パントテン酸 | 1.44 mg | 0.72 mg | 0.48 mg | 0.72 mg | 0.36 mg | 0.24 mg | 0.48 mg | 0.48 mg |
ビオチン | 15 µg | 7.5 µg | 5 µg | 7.5 µg | 3.8 µg | 2.5 µg | 5 µg | 5 µg |
ビタミンA | 231 µg | 116 µg | 77 µg | 116 µg | 58 µg | 39 µg | 77 µg | 77 µg |
ビタミンB1 | 0.36 mg | 0.18 mg | 0.12 mg | 0.18 mg | 0.09 mg | 0.06 mg | 0.12 mg | 0.12 mg |
ビタミンB2 | 0.42 mg | 0.21 mg | 0.14 mg | 0.21 mg | 0.11 mg | 0.07 mg | 0.14 mg | 0.14 mg |
ビタミンB6 | 0.39 mg | 0.20 mg | 0.13 mg | 0.20 mg | 0.10 mg | 0.07 mg | 0.13 mg | 0.13 mg |
ビタミンB12 | 0.72 µg | 0.36 µg | 0.24 µg | 0.36 µg | 0.18 µg | 0.12 µg | 0.24 µg | 0.24 µg |
ビタミンC | 30 mg | 15 mg | 10 mg | 15 mg | 7.5 mg | 5 mg | 10 mg | 10 mg |
ビタミンD | 1.65 µg | 0.83 µg | 0.55 µg | 0.83 µg | 0.41 µg | 0.28 µg | 0.55 µg | 0.55 µg |
ビタミンE | 1.89 mg | 0.95 mg | 0.63 mg | 0.95 mg | 0.47 mg | 0.32 mg | 0.63 mg | 0.63 mg |
ビタミンK | 45 µg | 22.5 µg | 30 µg | 22.5 µg | 11.3 µg | 7.5 µg | 15 µg | 15 µg |
葉 酸 | 72 µg | 36 µg | 24 µg | 36 µg | 18 µg | 12 µg | 24 µg | 24 µg |
「ゼロ」や「控えめ」の強調表示を行う場合
食品パッケージに、「○○ゼロ!」や「ノン○○!」など栄養成分が含まれない旨を強調表示する場合や、「○○控えめ!」など栄養成分が低い旨を強調表示する場合は、該当の栄養成分が、下の表の基準値未満でないといけません。
「○○30%カット!」など栄養成分が低減された旨を強調表示する場合は、比較対象食品と下の表の基準値以上の差がないといけません。また、相対差が 25%以上必要です。
栄養成分及び熱量 | 含まない旨の表示の旨 (例:無○○、○○ゼロ、ノン○○) 条件:基準値未満である | 低い旨の表示 (例:低○○、○○控えめ、○○ライト) 条件:基準値未満である | 低減された旨の表示 (例:○○30%カット、○○ハーフ) 条件:基準値以上の差 | |||
100g あたり | 100ml あたり | 100g あたり | 100ml あたり | 100gあたりの低減量 | 100mlあたりの低減量 | |
熱量 | 5 kcal | 5 kcal | 40 kcal | 20 kcal | 40 kcal | 20 kcal |
脂質 | 0.5 g | 0.5 g | 3 g | 1.5 g | 3 g | 1.5 g |
飽和脂肪酸 | 0.1 g | 0.1 g | 1.5 g | 0.75 g | 1.5 g | 0.75 g |
コレステロール | 5 mg | 5 mg | 20 mg | 10 mg | 20 mg | 10 mg |
糖 類 | 0.5 g | 0.5 g | 5 g | 2.5 g | 5 g | 2.5 g |
ナトリウム | 5 mg | 5 mg | 120 mg | 120 mg | 120 mg | 120 mg |
「砂糖不使用」の強調表示を行う場合
「糖類無添加」「砂糖不使用」など糖類を添加していない旨を表示する条件
- いかなる糖類も添加していないこと (ショ糖、ブドウ糖、ハチミツ、コーンシロップなど)
- 糖類を含む原材料又は添加物を使用していないこと
- 酵素分解その他何らかの方法により、糖類の含有量が原材料及び添加物の量を超えないこと
- 糖類の含有量を表示すること
「食塩無添加」の強調表示を行う場合
「食塩無添加」「塩分無添加」などナトリウム塩を添加していない旨を表示する条件
- いかなるナトリウム塩も添加していないこと (塩化ナトリウム、リン酸三ナトリウムなど)
- ナトリウム塩に代わる原材料、複合原材料、添加物を添加していないこと(ウスターソース、醤油など)
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